2009年09月14日

オストアンデル

基本的に歌詞カードは見ない。なぜかというと、理由@面倒臭いから。理由A歌詞カードが折れたり、指紋が付いたりするのが嫌だから。正確にいうと、理由Aを口実に理由@を正当化しているのだと思う。とにかくめんどくさがりなのである。そんな自分でも、なんて歌っているのかすごく気になって歌詞をチェックすることが、ごくまれにだがある。大滝詠一『ナイアガラ・ムーン』の歌詞カードをそのとき開いたのは、「ハンド・クラッピング・ルンバ」にでてくる謎の言葉、“オストアンデル”が何を意味しているのか、なんだか急に気になったからだ。そして、それが何かわかったとたんに思わず笑ってしまった。なんと“オストアンデル”とは、“押すとあん出る”のことであった。饅頭を押すとアンコが出るという、いかにも大滝詠一らしい、びっくりするぐらいくだらない歌詞であったのだ。

先日、TBSラジオの「小島慶子 キラキラ」を聴いていたら(自分の主な情報源がラジオなので、自然とラジオの話題が多くなるのです)、“ウマいね!ひどいね。このネーミング”というテーマで募集したメールの中にこんな内容のものがあった。横浜に“オストアンデル”というお洒落な洋菓子店みたいな名前の店があって、外観も洋菓子店風なのであるが、実は大判焼屋であるという。なぜ“オストアンデル”なのかというと、大判焼は押すとあんこが出るからで、平賀源内が饅頭のことをオランダ語風に“オストアンデル”と呼んだことに由来するのだという。そうか平賀源内だったのか。さすが大滝さん、浅いようで深いなーと少し感心してしまった。

インターネットで“オストアンデル”を検索してみると、どうもこの手のシャレは、ある世代以上の方には定番のネタみたいで、水道のことを“ヒネルトジャー”と言ったり(実はこれも「ハンド・クラッピング・ルンバ」で使われている)、さつま芋のことを“クートヘーデル”と言ったり、いろいろとあるようである。また、タイムボカンリーズの6作目『逆転イッパツマン』(好きだった!)ではイッパツマンが働くタイムリース社の所在地はオストアンデル市、ライバル会社のシャレコーベリース社はヒネルトジャー市にあるという設定になっていて、ここでも“オストアンデル”と“ヒネルトジャー”がセットになっていることがわかった。

だが一番驚いたのは、オストアンデルというバンドが存在するということであった。ジョイ・ディヴィジョンなんか好きみたいだから、たぶん大滝詠一とは関係ないと思う。ムームも好きらしいので、エレクトロニカ→エレキテル→オストアンデルという連想から名付けたのかもしれない。このバンド、嫌いじゃない。しかし、とりあえず僕は大判焼屋に行ってみたい。

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posted by 水上 徹 at 23:57| 音楽 | 更新情報をチェックする