昨日佐野元春のラジオを聴いていたら、冒頭1曲目にロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」がかかった。もちろん8月26日に死去した、この曲の作曲者エリー・グリニッチを追悼してのことなのだが、今まで何回聴いたかわからないこの曲にあらためて耳を傾けていたら、自分が好きな音楽の要素がこの曲に全部入っているように思えてきた。そして無人島レコードは「ビー・マイ・ベイビー」でいいんじゃないかと、これしかないんじゃないかと、好きな曲は「ビー・マイ・ベイビー」だと言い切ることが、すごくカッコイイことのように無理なく思えた。
僕は音楽好きの親しい知人・友人と会話するとき以外は、音楽好きオーラをできる限り出さないように気をつけている。その理由はただひとつ「どんな音楽が好きなんですか?」という質問を相手から引き出したくないからだ。それでも会話の流れで「どんな音楽が好きなんですか?」と訊かれることは時折あるので、どのように答えるか、自分の中である程度決めている。
音楽にそれほど詳しくなさそうなひとには「ビートルズみたいな古い洋楽が好きです。」と答える。そして「意外だねー。そんな風に見えないねー。」なんて言われたりする。ある程度洋楽の知識がありそうなひとには「ビーチ・ボーイズなんか結構好きですかね。」ぐらいに答える。ごく普通の一般社会に暮らしていて、ビーチ・ボーイズを好きなひとに会う確率は極めて少ないので、会話は「ふーん。」ぐらいで終わってくれる。そして相手が自分の知識を総動員して、イーグルスやジャクソン・ブラウンの話へと会話をスライドする前に話題を変える。
自分と音楽の趣味がかぶる部分がありそうなひとには、かぶる部分を言いつつ相手の自尊心をくすぐる。「ヴァン・ダイク・パークスなんてよく知ってますね。」とか「ゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズを好きなひとに初めて会いました。」とか。こんな会話、実際はしたことないけど。
でも今日からはすべてのひとに対して、ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」一本でいこうと思う。これってなんだか男らしいと思いませんか?
これが僕のエリー・グリニッチ追悼&リスペクト表明。
エリーさん、安らかにお眠りください。